2015年1月15日木曜日

返還請求訴訟⑦ 東京地方裁判所(第一審)の判決文(抜粋)(6)



<解説>

これまで第二審の東京高等裁判所の判決文で、特に重要な部分を紹介してきました。ここからは、第一審である東京地方裁判所の判決文を、これも重要なとこらだけに絞って紹介させていただきます。まず最初にご紹介するのは、永代供養に関する第一審の判断箇所(「5 争点4」、判決文15頁~16頁)です。

 
<判決文の抜粋>

5 争点4(永代供養契約の解除の成否)について

(1)永代供養とは、一般に、故人の供養のために毎年の忌日や彼岸などに寺院で永久に行う読経をいうものであり、自己又は配偶者の死後に事実行為たる読経を依頼し、これに対する対価として金員を支払うことを内容とする本件永代供養契約の法的性格は事実行為を委託する準委任であると解するのが相当である

   被告〔*幸福の科学〕は委任者の死亡により終了するのを原則とする委任契約と本件永代供養契約は、その性質上相容れないものであると主張するが、本件永代供養が委任者の死亡によっても委任契約を終了させない旨の合意を包含し、民法653条の法意がかかる合意の効力を否定するものではないことは明らかである。(最高裁平成4年9月22日第三小法廷判決・金融法務事情135855頁参照)

 また、被告は、被告が受け取ったのは永代供養の対価ではなく御布施で あり、本件永代供養契約の法的性質は負担付き贈与類似のものであるとも主張する。しかし、本件永代供養契約における当事者の意思としては、供養という事実行為の委任に主眼があることは明らかであり、また、証拠によれば、供養の費用については、「永代供養(奉納目安100万円)、7年供養(奉納目安70万円)、3年供養(奉納目安30万円)、1年供養(奉納目安10万円)」とされるなど、供養1年につき10万円という明らかな対価関係を見出すことのできる料金設定がされていたことが認められ、被告の上記主張は採用することができない。

(2)したがって、別段の合意がない限り、民法656条、6511項の規定により、各当事者は本件永代供養契約をいつでも解除することができるところ、本件において、これと異なる合意の成立に関する主張立証はないから、本件永代供養契約は、原告A及び原告Bの解除の意思表示により解除されたというべきである

(3)被告は、本件永代供養契約の法的性質が準委任であるとしても、契約の主要部分は履行済みであり、解除はできない旨主張するが、証拠によれば、本件永代供養契約における供養の開始時期については「【生前申込について】ご生前にお申し込みの場合は、ご他界の連絡をいただいた時点から供養が開始されます。」とされており、被供養者の死亡によって初めて委任事務が開始されるものとされていることが認められるから、永代供養契約が被供養者の死亡前に解除された本件では、いまだ被告の負担する債務の既履行部分はないというべきである。

  したがって、被告は、原告A及び原告Bに対し、上記契約解除に伴う原状復帰義務として、被告に交付した永代供養料の全額(原告A 及び原告Bにつき各200万円)を返還すべき義務を負う。

 
<解説>

ここでは永代供養契約は、申し込んだ当事者の意思としては「供養という事実行為の委任に主眼があることは明らか」だと裁判所が認定しています。そして、「自己又は配偶者の死後に事実行為たる読経を依頼し、これに対する対価として金員を支払うことを内容とする本件永代供養契約の法的性格は、事実行為を委託する準委任である」としています。

ここでは特に、「読経を依頼し、これに対する対価として金員を支払う」。要するに、永代供養料は読経を依頼したことへの「対価」であると言っていることに、注目しておきたいと思います。(次回に続く)

 

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